日本外科系連合学会誌
Online ISSN : 1882-9112
Print ISSN : 0385-7883
ISSN-L : 0385-7883
症例
小児の眼窩内側壁骨折の1治療経験
松永 和秀朝村 真一橋本 隆宏徳井 琢砂山 真紀磯貝 典孝
著者情報
ジャーナル フリー

2007 年 32 巻 6 号 p. 847-851

詳細
抄録

13歳の高度眼球運動障害を伴う眼窩内側壁骨折を治療し良好な結果を得た。受傷7日目他院耳鼻科にて鼻内法で整復を試みるも眼球運動の改善が得られなかったため, 受傷27日目当科にて観血的整復術を施行した。CTで, 篩骨洞内に眼窩内組織と内直筋が嵌入している所見が認められたため, 手術の工夫として, 眼窩内側からアプローチし, 眼窩を構成している上顎骨・涙骨の骨切り術を施行した。骨の再建は下顎骨を用いた。術後のCT所見では移植骨を基準にして, 正常な位置に眼窩内組織が構築されていた。術後経時的に眼球運動が改善し, 術後7カ月目には, 健側と同様の眼球運動域まで改善した。以上のことから, 小児の眼窩内側壁骨折で, 受傷からおよそ1カ月経過しても, 高度眼球運動障害を認める場合は, 骨切りを併用した観血的整復術も一つの方法であることが示唆された。

著者関連情報
© 2007 日本外科系連合学会
前の記事 次の記事
feedback
Top