2008 年 33 巻 6 号 p. 862-867
症例は82歳,女性。下腹部痛で当院救命センター受診,S状結腸から直腸の虚血性大腸炎と診断し,減圧目的で人工肛門造設術を施行した。術後2日目に突然心電図モニターにてST変化を認めた。その後心原性ショックとなり,心臓カテーテル検査でたこつぼ型心筋症と診断した。大量カテコラミン投与でもショックから離脱困難であったため,IABPを施行し循環動態を安定化することができた。術後11日目にIABPカテーテルを抜去したが,術後20日目に虚血性大腸炎が増悪したため,下行結腸から直腸までの虚血性結腸を切除した。その後敗血症性ショックなども合併し治療に難渋したが,再手術も含む集学的治療で軽快し,術後6カ月で退院した。術後2年以上経過した現在,生存中であり報告する。