2009 年 34 巻 1 号 p. 1-8
11年間に経験した40歳未満の大腸癌22例を若年者大腸癌と定義し,非若年者大腸癌(40歳以上85歳未満)と比較し,若年者大腸癌の臨床病理学的特徴と治療成績向上の方策について検討した.若年者群の主訴は排便時出血が多く,平均病悩期間は9.2月であった.若年者群は女性例,リンパ管侵襲高度陽性例,N2以上のリンパ節転移陽性例,stage IIIb症例が非若年者群に比べて有意に高率であった.根治度Aの手術施行率は両群間に差を認めないものの,若年者群の再発率は非若年者群に比べて有意に高率で,stage IIIbでは有意に予後不良であった.再発形式では肺再発が有意に多かった.若年者大腸癌の予後向上のためには,排便時出血を認めた際には早期に受診するよう若年者への啓蒙に努め,できるだけ早期に癌を発見し,病期の早い段階で十分なリンパ節郭清を含めた治癒切除を行うことが重要で,術後は肺再発を意識したサーベイランスを行うことが必要と考えられた.