2009 年 34 巻 1 号 p. 9-16
大腸癌患者80例を対象に,European Organization for Research and Treatment of Cancerのquality of life (QOL)調査票であるQLQ-C30(C30)とHospital Anxiety and Depression Scale (HADS)を用いて,術前後のQOLを調査し,術後QOLを予測する因子を解析した.各尺度の術前後値を比較すると,C30の"physical function(F)"と"role F"およびHADS-Anxiety(A)は術後有意に低値であったが,"emotional F""fatigue"と"pain"は術後有意に高値であった.術後1カ月目のQOLを予測する因子として,"global QOL","physical F","role F","fatigue","dyspnoea"およびHADS-Depression(D)はそれぞれの術前値が選択された."cognitive F","emotional F","social F","diarrhoea"およびHADS-AはHADS-Dの術前値が選択された.以上より,術前のC30と抑うつの要素が術後1カ月のQOLを予測する因子として重要と思われた.