2009 年 34 巻 1 号 p. 117-120
症例は71歳,男性.胆嚢結石症にて腹腔鏡下胆嚢摘出術(以後ラパ胆)を施行した.10mmポート孔の臍上部および剣状突起の創は,それぞれ筋膜を縫合閉鎖し手術終了した.術後第4病日腸閉塞を発症し一時改善するも,第9病日再度腸閉塞を来した.臍上部ポート部に軽度の圧痛を認め,腹部超音波検査にてポート部直下にhypoechoic massを認め,腸管が疑われた.腹部CT検査にて正中創に嵌頓する小腸を認めたため,Richter型ヘルニアの診断で手術を施行した.小腸が腸間膜側中心に嵌頓するも,血流障害がないため腸切除なく手術終了した.術後経過は良好で退院となった.本症例は,十分に腹膜と筋膜を縫合できていなかった可能性が考えられ,確実な筋膜縫合閉鎖が必要と考えられた.