抄録
今回著者らは,頸部食道癌手術後の遊離空腸の遅発性血流障害による通過障害に対し,大彎側細径胃管による再々建術を施行し,良好な結果を得た1例を経験したので報告する.
症例は70歳の女性.2002年に頸部食道癌に対し化学放射線治療を,2003年に両側頸部リンパ節郭清を施行している.2008年4月より嗄声が出現,精査にて頸部食道癌再燃と診断され,5月に喉頭全摘,頸部食道切除,遊離空腸間置術を施行した.術後経過は良好で6月中旬に退院したが,6月末に気管孔右側の皮膚が自潰し膿の流出を認めた.保存的治療を試みたが,徐々に吻合部の狭窄症状が出現し,8月下旬に遅発性血流障害による遊離空腸の部分壊死,狭窄の診断で遊離空腸切除,胸部食道抜去,後縦隔経路下咽頭胃管吻合,腸瘻造設術を施行した.再手術後の経過は良好で,術後第30病日に軽快退院した.