抄録
症例は79歳,女性.左乳腺腫瘤を主訴に当院受診.初診時,左乳房C領域に5.0cm大の硬い腫瘤を触知した.乳腺マンモグラフィ上は,左乳腺の伸展が不良で,左右差が顕著であったが,腫瘤影や微細石灰化は認めなかった.乳腺超音波検査では,後方エコー減弱を伴う低エコー病変を広範囲に認めた.胸部CT検査では造影所見は認めなかったが,乳腺造影MRI検査では緩除かつ斑状,散在性の造影像を認めた.乳癌を疑い,針生検を施行したが悪性所見を確認できなかった.45年間のインスリン治療歴を有する糖尿病の既往や,超音波検査の低エコー病変とMRI検査の造影部位の不一致などの画像所見から,糖尿病性乳腺症と診断した.本症例では,MRI検査で指摘された造影部位の確認のため,最終的に切除生検を施行したが,患者の既往歴を正確に把握し,画像所見の矛盾点を的確に追求・検討することにより,術前診断が可能と思われた.