日本外科系連合学会誌
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症例報告
粘膜下腫瘍様の形態を呈し術前診断が困難であった胃癌の1例―文献報告183例の検討を含めて―
山奥 公一朗國崎 主税佐藤 勉大島 貴藤井 正一野澤 昭典湯川 寛夫利野 靖益田 宗孝今田 敏夫
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2011 年 36 巻 4 号 p. 623-629

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抄録

 症例は70歳,女性.2006年1月に胃体部小彎に大きさ25mmの粘膜下腫瘍様の病変を指摘された.経過観察中に,中心部に陥凹形成が認められたが,計4回施行された生検では,何れも極性の乱れと腺管形態の不整を認めるものの,細胞異型は軽度で,確定診断は困難であった.2008年2月当院紹介され,生検でGroup IVであることと肉眼的所見から胃癌を強く疑い,2008年3月に腹腔鏡補助下幽門側胃切除術を施行した.病理学的には,高分化型管状腺癌で,病巣の主座は粘膜下に存在し,腫瘍周囲には異所性胃腺を認めた.さらに,異所性胃腺の一部には,高度の異型を有する部分を認め,胃粘膜下層の異所性胃腺から発生し,粘膜下腫瘍様形態をとった胃癌と診断した.粘膜下腫瘍様形態を呈する胃癌は本邦では183例検索しえた.これらを臨床および臨床病理組織学的に集計し,文献的考察を加えた.

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© 2011 日本外科系連合学会
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