抄録
アニサキス症は年間2,000〜3,000例と日本人の間で最もよくみられる寄生虫症の一つである.その中でも98%が急性胃アニサキス症であり,腸アニサキス症は約2%と極めて稀なケースである.
治療としては,対症療法による保存的治療が一般的に行われており,症状に比し腹部の理学的所見が乏しいことが多いため,手術を必要とされることは比較的稀である.腸アニサキス症は,腹痛・イレウス・腹水を伴う場合が多く,急性腹症として開腹され,切除小腸内に虫体断端を見出し,診断が確定される例が多い11).
他疾患による急性腹症との鑑別診断は困難であり,術前確定診断には詳細な病歴聴取を行い,慎重に腹部所見を得,積極的な検査の活用により総合的判断が重要である.
今回,われわれは腹膜刺激症状から手術適応であると判断し,開腹手術を施行し,小腸アニサキス症と診断した1例を経験したので報告する.