抄録
症例は66歳,男性.3年前より排便時に水様の排液を認めるも経過観察していたが,下肢の浮腫と全身倦怠感を認め,精査加療目的で入院となった.入院時BUN 87mg/dl,CRE 2.67mg/dlと腎機能障害とNa 119mEq/l,K 3.0mEq/l,Cl67mEq/lと電解質異常を認めた.大腸内視鏡検査では,直腸に粘液分泌を伴う腫瘍を認め,生検結果は絨毛腺腫であった.絨毛腺腫から粘液分泌を伴うことにより,電解質異常を呈するelectrolyte depletion syndrome(以下,EDSと略記)と診断した.補液で脱水,電解質異常を改善した後に,手術を施行した.切除標本で絨毛構造を有する腫瘍を認め,病理組織学検査では絨毛腺腫で,粘膜固有層の一部に高分化管状腺癌を伴っていた.術後臨床症状は改善した.EDSを呈した大腸絨毛腫瘍は比較的稀な病態であり,若干の文献的考察を加えて報告する.