日本外科系連合学会誌
Online ISSN : 1882-9112
Print ISSN : 0385-7883
ISSN-L : 0385-7883
症例報告
肝切除後難治性腹水に対して腹腔静脈シャントが有効であった1例
坂口 孝宣鈴木 淳司稲葉 圭介福本 和彦鈴木 昌八今野 弘之
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 37 巻 2 号 p. 331-335

詳細
抄録
 われわれは肝硬変合併肝細胞癌に対する肝切除後大量腹水貯留に対して腹腔静脈シャントが著効した1例を経験したので報告する.症例は69歳,男性.15年間C型肝炎による肝機能異常にて近医通院.平成22年10月定期的CT検査で前尾側亜区域(S5)に1.5cmの腫瘍を指摘され,当科紹介された.肝障害度Aで12月S5亜区域切除を施行した.第5病日ドレーン抜去後腹水が貯留し始め,経口摂取や自力起座不能となった.急性腎不全や食道静脈瘤の出血を併発,3回の腹水ろ過濃縮還元後も改善傾向なく,第56病日に腹腔静脈シャントを作成した.MRSA感染によるシャント抜去,再留置を要したが,現在再発なく完全に自立した生活を送っている.肝切除後の不安定な肝機能状態にあっても,大量腹水に対する腹腔静脈シャントは考慮すべき方法であり,文献的考察を加えて報告する.
著者関連情報
© 2012 日本外科系連合学会
前の記事 次の記事
feedback
Top