抄録
症例は53歳男性で右下腹部痛を主訴に来院,腹部超音波検査を施行したところ同部に40mm大の低エコーを示す腫瘍性病変を指摘.各種画像検査行うも質的診断不明であり,有症状であることから手術を施行した.腸管に近接することから消化管GISTを疑い腹腔鏡手術を予定したが,腹腔鏡観察を行ったところ腹腔内に腫瘍はなく,右下腹部腹壁内から腹膜を圧出する形態を呈する腫瘍を認めた.腫瘍は腹壁内に限局しており腹腔内には露出しておらず,開腹することなく体表側から摘出可能であった.摘出標本は直径40×35 mmの弾性硬の腫瘤であり,割面は黄色無構造で被膜を有していた.病理的に腫瘍はCD20陽性リンパ濾胞細胞と周囲のCD3陽性細胞からなり,イムノグロブリンκ,λ鎖陽性細胞は同程度に存在することからCastleman’s diseaseと診断された.術後経過は良好であり術後7日目に軽快退院された.外来で2年7カ月間経過観察中,再発を認めていない.腹壁原発のCastleman’s diseaseは極めて稀であり,文献的考察を加え報告する.