日本外科系連合学会誌
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臨床経験
胃癌抗癌剤治療中の有害事象に対する十全大補湯投与の経験
利野 靖湯川 寛夫山田 六平佐藤 勉稲垣 大輔藤川 寛人長谷川 慎一大島 貴吉川 貴己益田 宗孝今田 敏夫
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2013 年 38 巻 1 号 p. 62-66

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抄録

【目的】十全大補湯は病後の疲労倦怠,食欲不振,貧血に処方される漢方薬の一つである.再発胃癌の抗癌剤治療中の白血球減少,貧血,食思不振に悩んでいた症例に十全大補湯を処方したところ改善した症例を経験した.そこで胃癌の診断で抗癌剤治療を施行した症例で十全大補湯を処方した症例をretrospectiveに解析し,抗癌剤の副作用の発現率を検討することとした.

【対象と方法】進行再発胃癌の診断で抗癌剤治療を施行した症例で31例に十全大補湯を処方した.抗癌剤の副作用発現と,十全大補湯の副作用について検討した.

【結果】十全大補湯が不味くて飲めない症例が1例.17例の血液毒性では,11例(64.7%)でGradeの低下がみられ,有効と判定した.10例の非血液毒性(食思不振,倦怠感など)では,7例(70.0%)で効果がみられた.

【結語】抗癌剤治療の副作用に十全大補湯は有効であることが考えられた.

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© 2013 日本外科系連合学会
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