抄録
はじめに:高齢者に対して膵頭十二指腸切除術は施行されるが安全性は証明されていない.目的:高齢者に対する膵頭十二指腸切除術の安全性を検討する.対象と方法:2007年3月から2011年10月までに膵頭十二指腸切除術を施行した27例を対象とした.75歳以上の9例をO群,74歳以下の18例をY群とし,両群の手術および周術期の成績を比較検討した.結果:両群で手術時間と出血量に有意差はなく,術前の白血球数,CRP値,リンパ球数,アルブミン値に有意差はなかった.O群でFFPが有意に多く使用されていた(p<0.05).膵液瘻やDGEを含む術後合併症の発症頻度に有意差はなかった.O群の術後アルブミン値は14日目にY群より有意に低値であった(p<0.05).O群の術後体温は7日目にY群より有意に高値であった(p<0.05).術後にはじめて排ガスと排便を認めた日に有意差はなかった.結論:O群はY群より術後栄養状態や炎症所見の回復が遅れる傾向はあるが,手術成績や合併症の発症率に差はなく高齢者に対する膵頭十二指腸切除術は安全であった.