日本外科系連合学会誌
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症例報告
鏡視下に確認した小虫垂結石による穿孔性虫垂炎の1例
村上 弘城藤竹 信一
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2013 年 38 巻 4 号 p. 846-851

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抄録
虫垂結石は比較的稀な病態であるが,虫垂炎を発症すると重症化しやすいことが報告されている.今回,われわれは急激な経過をたどり,腹腔鏡下手術にて診断がついた虫垂結石による穿孔性虫垂炎の症例を経験したため報告する.症例は43歳,女性.急な心窩部痛,右下腹部痛を自覚し当院救急外来を受診.わずかな炎症反応上昇はあるもののCTで虫垂腫大は指摘されず,当初は骨盤腹膜炎の疑いにて婦人科入院となった.その後,経時的に腹痛が増強し炎症反応も増悪するため当科紹介となった.CTにて盲腸周囲の炎症性変化が強く,虫垂炎の可能性が否定できないため診断および治療目的にて腹腔鏡下手術を施行した.腹腔鏡所見では混濁した腹水の貯留を認め,虫垂自体は明らかな腫大は認めなかったが虫垂根部に5mm大の穿孔と同部位の内腔に径5mm弱の尖った結石を認めた.虫垂切除,ドレーン留置を施行し,術後は合併症もなく第9病日に退院となった.
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© 2013 日本外科系連合学会
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