日本外科系連合学会誌
Online ISSN : 1882-9112
Print ISSN : 0385-7883
ISSN-L : 0385-7883
症例報告
メッシュプラグに起因すると考えられたS状結腸憩室炎穿孔の1例
出口 幸一玉川 浩司岩瀬 和裕吉田 洋野村 昌哉西川 和宏松田 宙出口 貴司川田 純司田中 康博
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 39 巻 2 号 p. 228-233

詳細
抄録

鼠径ヘルニアに対するメッシュ修復は標準化しているが,われわれはメッシュプラグに起因すると思われる結腸憩室炎穿孔を経験したので報告する.症例は69歳男性.9年前に左鼠径ヘルニア,3年前に左鼠径ヘルニア再発に対し,それぞれメッシュプラグ法によるヘルニア修復術を施行されている.左鼠径部の膿瘍形成および糞尿を認めたため受診,画像検査で骨盤内膿瘍を認め,S状結腸・膀胱と膿瘍の交通を認めたことから結腸皮膚瘻および結腸膀胱瘻と診断した.手術所見では,左内鼠径輪付近の腹壁から腹腔内に突出したプラグがS状結腸・膀胱に強固に癒着しており,プラグ先端に膿瘍を認め,S状結腸の穿孔を認めた.プラグ,メッシュの除去とともにS状結腸部分切除・膀胱部分切除術を施行した.病理所見ではS状結腸憩室炎の穿孔を認めた.メッシュによる鼠径ヘルニア修復術後には,腹腔内臓器との癒着・物理的刺激による重篤な合併症を念頭に置く必要がある.

著者関連情報
© 2014 日本外科系連合学会
前の記事 次の記事
feedback
Top