抄録
症例は62歳の男性で,近医で直腸癌と診断され精査加療目的に当科入院.腹部CTにて肝S5とS7に辺縁不整で造影にて周囲に軽度の造影効果を受ける腫瘍性病変を認めた.FDG-PETにて肝S5の腫瘍性病変にはFDGの集積像を認めたが,S7の腫瘍性病変にはFDGの集積像は認めなかった.直腸癌および多発肝転移の診断で,直腸癌に対するマイルズ手術を施行した後に,肝腫瘍に対して肝S5切除術および肝S7部分切除術を施行した.病理組織学的検査では直腸癌は中分化腺癌,肝腫瘍はいずれも炎症性偽腫瘍と診断された.術後6年の現在,無再発生存中である.悪性腫瘍の併存または既往がある症例において肝炎症性偽腫瘍と転移性肝癌との鑑別診断は重要である.今回われわれは直腸癌に併存した肝炎症性偽腫瘍の1例を経験したので報告する.