日本外科系連合学会誌
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症例報告
診断に苦慮したFDG-PET陽性黄色肉芽腫性胆囊炎の1例
笠島 裕明森本 芳和弓場 健義藤井 眞赤丸 祐介山崎 芳郎
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2014 年 39 巻 2 号 p. 264-270

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抄録
胆道系悪性腫瘍の鑑別にFDG-PETが有用とされているが,しばしば診断に苦慮することがある.症例は60歳,女性.右季肋部痛を主訴に受診され,急性胆囊炎の診断で保存的治療の後当科紹介となった.腹部超音波検査・造影CTにて胆囊体底部に高速血流を伴う不整な壁肥厚を認め,肝門部と傍大動脈にリンパ節の腫大を認めた.FDG-PETにて胆囊と腫大したリンパ節にFDG集積を認め,リンパ節転移を伴う胆囊癌の疑いにて手術を施行した.術中迅速病理診断にて傍大動脈リンパ節は結核性リンパ節の疑いであり,根治切除可能と判断し,胆囊摘出・肝床部切除・肝外胆管切除を行った.術後診断は黄色肉芽腫性胆囊炎および結核性リンパ節炎の結果であった.胆囊と所属リンパ節にFDG集積を示す場合,リンパ節転移を伴う胆囊悪性疾患を第一に考えるが,炎症性疾患が併存している可能性も念頭に置く必要があると考えられた.
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© 2014 日本外科系連合学会
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