2014 年 39 巻 2 号 p. 271-275
腹腔内リンパ管腫は稀な疾患とされているが,胆囊原発は極めて稀とされている.今回,われわれは胆囊リンパ管腫の1切除例を経験したので報告する.患者は58歳,男性.上腹部腫瘤を自覚し受診した.腹部超音波検査,腹部CT,MRI検査で胆囊周囲に多房性囊胞性腫瘍が認められたが,胆囊内腔は保たれていた.肝十二指腸間膜由来の多房性囊胞性腫瘍と診断し,開腹胆囊摘出術を行った.摘出標本は11×7.5×5cm,表面平滑な多房性囊胞性腫瘍で,内部に黄色透明で漿液性の液体貯留が認められた.病理組織検査にて胆囊原発リンパ管腫と診断された.胆囊リンパ管腫は希少性ゆえに術前診断は容易でなく,術式決定には周囲臓器との関係性の把握が重要であると思われた.