抄録
陶器様胆囊とは胆囊壁が広範に石灰化した病態であり,しばしば癌合併を認めるため腹腔鏡下胆囊摘出術が敬遠されていた.しかし近年,全体型陶器様胆囊には癌合併の報告がないことから,治療法として腹鏡下胆囊摘出術も選択されている.今回われわれは全体型陶器様胆囊に対する腹腔鏡下胆囊摘出術を経験したので,1994年以降の陶器様胆囊の本邦報告例41例の臨床的検討を併せ報告する.症例は53歳,男性.1年前からの右季肋部痛を主訴に近医を受診し,陶器様胆囊,胆石と診断され,手術目的に当科紹介受診となった.術前精査の結果,腫瘍性病変を伴わない全体型陶器様胆囊と診断し,腹腔鏡下胆囊摘出術を施行した.病理組織学的にも悪性所見を認めず,術後第4病日に退院となった.本疾患は癌合併,併存を認めることがあり,陶器様胆囊の石灰化形態と詳細な術前検査のもと治療方針を検討することが重要である.