日本外科系連合学会誌
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症例報告
腸閉塞,上腸間膜動脈閉塞症を発症したANCA関連血管炎の1例
西田 保則笹原 孝太郎岸本 浩史吉福 清二郎
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2014 年 39 巻 4 号 p. 680-684

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抄録

症例は89歳の女性,腸閉塞にて紹介となり,イレウス管を挿入して経過観察中であった.腸閉塞は軽快傾向であったが,治療開始後12日目に突然腹痛が増強した.腹部CTにて,上腸間膜動脈は閉塞し,広範な腸管壊死が疑われた.上腸間膜動脈閉塞症の診断で緊急手術を施行し,壊死腸管の切除を行った.病理組織所見にて,上腸間膜動脈の血栓閉塞と,標本内全ての中小動脈壁にフィブリノイド壊死を伴う破壊像と炎症細胞浸潤を認めた.血液検査にてCRP,MPO-ANCA陽性であり,活動性の血管炎が考えられた.術後,腸管運動の減弱は認めたが,高齢,ADLを考慮し,ステロイド治療は行わなかった.血管炎が上腸間膜動脈閉塞症の原因となることは非常に稀である.今回,腸閉塞,上腸間膜動脈閉塞症を発症したANCA関連血管炎の1例を経験した.

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© 2014 日本外科系連合学会
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