抄録
68歳男性.胃癌手術目的で当院入院.上部消化管内視鏡検査並びに生検で,胃体下部,小彎から後壁にかけて,3型の中分化腺癌と診断された.術前CTでは明らかな他臓器への転移はなかった.幽門側胃切除を施行した.術中所見で左胃静脈内の腫瘍塞栓を疑った.術中超音波検査で,左胃静脈内の腫瘍塞栓は,門脈本幹内に一部露出していたが,門脈壁へ明らかな浸潤はなかった.そのため腫瘍塞栓摘出術を追加した.原発巣,リンパ節,腫瘍塞栓の組織所見は稀な型の胃肝様腺癌の像であった.術後補助化学療法施行.術後3年3カ月現在再発・転移なく経過良好である.