抄録
(症例)73歳女性.排便時出血を主訴に当科を受診した.下部消化管内視鏡検査で盲腸に粘膜下腫瘍様形態を呈した腫瘍を認め,生検でadenocarcinoma(por1)と診断された.低分化型大腸癌の診断で結腸切除術を行ったところ,病理組織学的所見で以前手術を施行した胃癌の組織と形態学的に一致しており,胃癌からの大腸転移と診断した.(臨床的・病理学的検討)胃癌大腸転移症例報告を検討したところ,低分化腺癌や印環細胞癌の割合が高く,異時性の場合,胃癌術後からの発症時期は平均54.6カ月で,大腸転移巣切除後の死亡例では平均生存期間は15.3カ月で予後不良であった.(結論)大腸腫瘍において低分化腺癌,または印環細胞癌を認めた場合には転移性大腸癌も念頭に精査を進める必要があると思われた.また,胃癌の組織型が低分化腺癌や印環細胞癌の場合には上部消化管のみならず,下部消化管への転移も考慮し,定期的な術後下部消化管精査が必要と思われた.