抄録
症例は72歳男性,2006年に横行結腸癌に対して結腸右半切除術を施行後,2012年8月に肝転移疑いで手術を施行した.全身麻酔下に右J字切開で開腹し,予定通り肝S7部分切除および胆囊摘出術を施行,肝切除終了後に生食滴下式の電気メスでソフト凝固(VIO 300D/EIP2,ERBE社)を用いて副腎前面の止血を行っていたところ,動脈圧モニターで収縮期血圧が200mmHgを超える異常高血圧と頻脈をきたした.直ちに止血処置を中断すると血圧は低下し,麻酔覚醒も問題なく行えた.術後に副腎ホルモンなどを測定したがすべて正常で,腹部CTや123I-MIBGシンチグラムで副腎腫瘍などは確認できなかった.その後の経過は良好で現在血圧は安定しており,自覚症状も認めず無再発生存中である.今回,肝切除の術中にソフト凝固による副腎止血操作により,異常高血圧を認めた症例を経験したので報告する.