日本外科系連合学会誌
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原著
幽門側胃切除術後における食事形態~段階食は必要か~
三宅 謙太郎高川  亮諏訪 雄亮茂垣 雅俊舛井 秀宣長堀 薫
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キーワード: 術後食, 幽門側胃切除術
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2014 年 39 巻 5 号 p. 827-832

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抄録
はじめに:術後の段階食は慣習として行われてきたものであり,味の満足度も高くないため必ずしも必要ではないとされているが,胃切除後の症例を検討した報告は少ない.目的:食事内容の満足度向上と,在院日数短縮のために導入した幽門側胃切除後に全粥で開始するパスの有用性を明らかにする.対象と方法:幽門側胃切除術を行った204症例を段階食群(A群)104例と全粥開始群(B群)100例に分け,A群は術後5日目に3分粥,B群は術後5日目に全粥で開始し,2群間の術後在院日数,合併症などを比較検討した.結果:術後合併症発生率に有意差は認めず(A群vsB群:19%vs20%,p=0.889),短期の予後栄養指数では有意差を認めなかったが,アンケート調査の満足度も高く術後在院日数はB群で2日短縮した(12日vs10日,p<0.01).結語:幽門側胃切除術後に全粥で経口摂取を開始することは,安全であり,患者満足度の向上,在院日数短縮に寄与すると考えられた.
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© 2014 日本外科系連合学会
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