抄録
症例は65歳の女性.慢性関節リウマチと子宮筋腫で当院に通院中であり,定期検査で行った腹部CTで虫垂の腫大を認めた.大腸内視鏡検査では粘膜下腫瘍を疑わせるような壁外性の圧排像を盲腸に認め,MRIでは虫垂内腔はT1強調像で低信号,T2強調像で高信号に描出された.さらにT2脂肪抑制画像では内部不均一な像であり,一様な液体成分でない可能性が示唆された.以上の画像所見から虫垂粘液囊腫の診断で腹腔鏡補助下回盲部切除術を行った.切除標本では虫垂は腫大し,虫垂根部は盲腸内に突出しており,虫垂の内部には半透明から黄色の顆粒状構造物が充満していた.病理組織検査にて虫垂粘膜上皮は粘液により圧排され平坦化していたが悪性所見は認めず,虫垂粘液囊胞腺腫に合併した虫垂粘液球症(Myxoglobulosis)と診断した.術前の画像診断が困難で,非常に稀な虫垂粘液球症の1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.