日本外科系連合学会誌
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症例報告
穿刺吸引細胞診で悪性または悪性疑いとされ,術中迅速診断で甲状腺硝子化索状腫瘍と診断された2症例
佐藤 耕一郎山口 正明斎藤 俊夫福島 大造阿部 隆之
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2014 年 39 巻 6 号 p. 1062-1069

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抄録
症例1はTSH高値で某医より紹介され,超音波検査(US)上甲状腺両葉に腫瘤が認められた.穿刺吸引細胞診(FNA)上,右葉腫瘤の濾胞上皮細胞の核形が不整で核腫大・核溝・核内封入体を認め,悪性(乳頭癌疑い)と診断された.入院の上,甲状腺全摘を行ったところ,術中迅速診にて細胞診で悪性と診断されていた腫瘤は硝子化索状腫瘍と診断され,頸部郭清は行わなかった.永久標本でも同様の結果であり,約2年経過した現在,再発を認めていない.症例2は人間ドッグで甲状腺右葉に腫瘍を指摘され,当院紹介された.US上,甲状腺右葉に2個,左葉に1個の腫瘤が認められ,FNA上,一つの右葉腫瘤濾胞上皮の核形が不整で核内封入体が認められ,悪性疑いとされた.入院の上,甲状腺全摘を行い,術中迅速診で細胞診上悪性疑いとされた腫瘍は,硝子化索状腫瘍と診断され,頸部郭清は行わなかった.永久標本でも同様の結果であり,3カ月たった現在,再発を認めない.
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© 2014 日本外科系連合学会
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