日本外科系連合学会誌
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症例報告
切除不能胃癌化学療法中にニューモシスチス肺炎発症が疑われた1例
荒瀬 光一渡邉 哲也森木 康之浜田 史洋
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2014 年 39 巻 6 号 p. 1081-1087

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抄録
胃癌化学療法中にニューモシスチス肺炎(pneumocystis pneumonia:以下PCP)発症を疑った1例を経験したので報告する.症例は60歳男性,切除不能胃癌(T4a,N3,M1:Stage Ⅳ)に対する化学療法としてS-1+CDDP,PTX,S-1+TXTを投与した.休薬中に呼吸困難が出現し,胸部単純X線および胸部CT検査で両肺野にびまん性すりガラス陰影を認め,同時にβ-D-glucan高値を認めたためPCPと診断した.人工呼吸器管理並びにST合剤,ステロイドを投与し病態や画像所見は改善した.PCPは致死的な日和見感染症であり,一般的には免疫抑制療法時やHuman immunodeficiency virus(以下HIV)感染者に発症するリスクが高い.消化器癌においても,化学療法並びにステロイド投与中の患者は,PCP発症の可能性を十分念頭に置く必要があると考えられた.
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© 2014 日本外科系連合学会
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