抄録
症例は42歳,女性,健康診断にて胃の異常を指摘され,近医にて精査の結果胃GIST疑いとの診断で当科に紹介となった.上部消化管内視鏡検査では胃体中部大彎前壁側に管内に発育する20mm大の胃粘膜下腫瘍を認めた.腹部造影CT検査では,胃体中部に内腔に突出する14mmの隆起性病変を認め,経時的に辺縁から内部へと造影効果が進み血管腫様の造影パターンを呈していた.以上より,胃粘膜下腫瘍(GIST疑い)の診断にて腹腔鏡・内視鏡合同手術を施行した.切除標本の病理検査では腫瘍血管網が発達し,小型で類円形~多角形の腫瘍細胞が充実性に増殖していた.免疫組織化学的にはaSMA,Collagen-Ⅳが強発現し,c-kit,CD34,Desmin,S100が陰性で,MIB1 indexが低く(1~2%),良性グロームス腫瘍と診断された.術後経過は良好で第6病日に退院.術後1年経過したが再発の徴候は認めていない.