抄録
症例は80歳男性.薬局での処方待ち中に冷汗を伴った気分不良があり当院へ救急搬送となった.救急隊接触時には軽度の気分不良と嘔気を認めたが,当院搬送時には腹痛などの症状は認めなかった.胸腹部CT検査を施行したところ腹腔内遊離ガス像を認め,消化管穿孔の可能性を否定できず当科紹介となった.腹部CT検査にて腸管,脾臓周囲などに遊離ガス像が散見されるも腹部症状を全く認めず,血液検査でも炎症反応上昇も認めなかったため特発性気腹症の可能性を考え,入院の上で保存的治療の方針とした.入院後も腹部症状はなく,血液生化学検査や上部消化管内視鏡検査では異常所見を認めないため経口摂取を再開し,その後も症状の増悪を認めず第14病日に退院となった.画像検査において腹腔内遊離ガス像を認めるものの,腹部症状や炎症反応などの所見に乏しい場合は本疾患の可能性を念頭に置いて,外科的治療の適応は慎重に行う必要があると考える.