抄録
症例は87歳の女性で,左臀部,左大腿部痛を主訴に他院を受診した.腹部CTで左閉鎖孔ヘルニアと診断され,当院紹介となった.腹部CT所見では左閉鎖孔ヘルニアを認めるが,腸管の脱出は認めなかった.また,過去にイレウスと思われるような腹部症状を認めた様子はなかった.左臀部,左大腿部痛はHowship-Romberg徴候と考えられた.イレウスを伴わずにHowship-Romberg徴候のみで発症した閉鎖孔ヘルニアと診断し,待機的に腹腔鏡下ヘルニア修復術を行った.良好な視野で腹腔内を観察し,腸管の嵌頓や他のヘルニアの合併がないことを確認した.ヘルニア門はMesh sheetを用いて閉鎖した.術後経過は良好で,左臀部,左大腿部痛は完全に消失した.イレウスを伴わずにHowship-Romberg徴候のみで発症したきわめて稀な閉鎖孔ヘルニアに対し,腹腔鏡下手術を行った症例を経験したので報告する.