日本外科系連合学会誌
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症例報告
胃全摘後の輸入脚に生じた小腸癌による腸重積の1例
目黒 由行細谷 好則遠藤 和洋田中 亨佐田 尚宏安田 是和
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キーワード: 胃全摘, 腸重積, 小腸癌
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2015 年 40 巻 1 号 p. 55-60

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抄録

患者は25年前胃癌で胃全摘,膵体尾部切除,脾摘出術を施行された62歳男性.腹痛で近医を受診,腹部CTで輸入脚の拡張を認めたため当科紹介受診.ダブルバルーン内視鏡,FDG-PETでの精査の結果,Y脚近傍に生じた悪性腫瘍による腸重積と診断した.また,ネフローゼ症候群と低栄養による著明な低蛋白血症も認められた.腸重積は内視鏡施行時に解除されたため,待機的手術とした.開腹時,腫瘍はTreitz靭帯から20cm遠位に存在し,腫瘍からY脚吻合部までの距離は30cmであった.腫瘍から10cmのマージンを確保し切除,linear staplerでfunctional end-to-end anastomosisを施行した.術後も著明な低蛋白血症は改善せず術後3カ月で前医転院となった.術後病理は小腸腺癌であった.胃全摘術後輸入脚に生じた小腸癌による腸重積という稀な病態は報告例がなく,文献的考察を加えて報告する.

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© 2015 日本外科系連合学会
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