抄録
【目的】2000年代前半に加速した病院勤務の産婦人科医師の離脱と周産期医療の危機的状況と女性医師の増加に対して,医師団体や行政が行ってきた対策の効果を検証した.【方法】産婦人科医師の卒後就労状況の調査,日本産科婦人科学会の新規会員数の推移,産婦人科新専門医を対象としたアンケート結果,横浜市立大学産婦人科の教育関連病院の医師配置数のデータを用いた.【結果】医師側・行政側からの多角的方策により,若手産婦人科女性医師が卒後11年目に分娩を扱う施設で就労している率は2006年調査の46%から2013年調査の66%へと上昇し,継続的就労意欲や専門性の高い仕事への意欲も高まっていた.しかし一旦上昇に転じた産婦人科を志望する医師数が,初期研修の産婦人科必修の中止以降,再び減少傾向にある.【結語】女性医師の継続就労への取り組みが実効性を示すデータとして示された.しかし,施設間や地域間の較差など取り組むべき課題も多く残されている.