抄録
メッシュプラグによる左鼠径ヘルニア手術を施行後,S状結腸穿通を発症した1例を経験したため報告する.症例は80歳代の男性,10年前に左鼠径ヘルニアに対し,ヘルニア手術を施行されている.来院1週間前より左鼠径部手術瘢痕からの排膿を自覚し,平成24年6月に当科初診となった.手術瘢痕より便汁の流出を認め,CTにてS状結腸と皮膚の瘻孔を認めた.メッシュに起因するS状結腸穿通と判断し,手術を施行した.メッシュプラグがS状結腸に穿通し,左鼠経瘢痕部腹壁に一塊となって強固に癒着しており,穿通部S状結腸をメッシュ,瘻孔とともに切除した.切除標本ではプラグ先端がS状結腸内に埋入し,皮膚瘻を形成していた.術後はSurgical Site Infection(以下SSI)を起こすも保存的に軽快した.鼠経ヘルニア手術後の大腸穿通例は本邦では報告例が少なく比較的稀であるため,若干の文献的考察を加え報告する.