抄録
症例は59歳女性で,貧血精査目的に施行した大腸内視鏡検査で虫垂開口部から盲腸内腔に突出する径10mmの隆起性病変を認めた.生検ではGroup3であったがCT検査では腫瘤径20mmであったため,粘膜内癌併存の可能性を考慮し腹腔鏡下虫垂切除術を施行した.病理組織検査で高分化型腺癌,粘膜内癌であり,追加切除は施行しなかった.術後5年経過し,無再発生存中である.
原発性虫垂癌は比較的稀な疾患であり,特異的症状に乏しく,早期診断が困難であることが多い.早期虫垂癌では急性虫垂炎の術前診断で虫垂切除術が行われ,病理組織検査で早期癌と診断される症例が大半を占める.術前または術後に診断された早期虫垂癌では原発巣の切除範囲,リンパ節郭清範囲および追加切除の必要性が問題となることがある.今回,われわれは大腸内視鏡検査で虫垂腫瘍を指摘され,腹腔鏡下手術にて根治切除しえた早期虫垂癌症例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.