日本外科系連合学会誌
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症例報告
鼠径ヘルニア術後にKugel patchの癒着により生じた絞扼性イレウスの1例
太田 嶺人佐藤 耕一郎阿部 隆之武藤 亮
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2015 年 40 巻 5 号 p. 891-895

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抄録
症例は80歳代女性.腹痛,吐血のため救急外来を受診した.緊急上部消化管内視鏡検査を施行したが,活動性の出血は認めず,経過観察目的の入院となった.入院後も腹痛が遷延したため単純CT検査を施行したところ,小腸の著明な拡張と腹水を認め,絞扼性イレウスと診断した.急性循環不全,急性腎不全を伴い,全身麻酔下での手術はリスクが高いと判断したため,補液およびlong tubeにより保存的加療を開始した.その後,全身状態の改善を認めたため,第3病日に開腹手術を施行した.術中所見では,両側のKugel patchが腹腔内へ突出し,両側で大網が癒着していた.骨盤腔左側では,Kugel patchの背側でS状結腸間膜との間に索状物の癒着があり,小腸が嵌頓し絞扼していた.Kugel patchに起因する絞扼性イレウスは報告例が少なく,稀な症例であり報告する.
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© 2015 日本外科系連合学会
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