日本外科系連合学会誌
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原著
単一施設における泌尿器科経験平均3年の術者が施行した開腹前立腺全摘術の検討
濱崎 務西村 泰司 飯ヶ谷 重来遠藤 勇気柳 雅人鈴木 康友近藤 幸尋秋元 成太
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2016 年 41 巻 2 号 p. 152-156

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抄録

近年,前立腺全摘術に関する論文は鏡視下およびロボット支援手術がほとんどであるが,術中開腹手術への移行に備えて開腹前立腺全摘術の高等な技術をレジデントのうちに習得しておくことは必要である.今回那須赤十字病院において,経験の少ない(泌尿器科経験平均3年程度)医師3人と1人の指導者のもと,64例の開腹前立腺全摘術を施行したので,治療成績について検討した.平均手術時間は261分,平均出血量は1,270mlで全例自己血800mlを用意し使用し,1例のみ自己血以外に同種血輸血を必要とした.断端陽性率は64例中4例(6.25%)で,平均観察期間32.0カ月でPSA再発は2例(3.1%)に認められた.パッドフリー症例は51症例(79.7%)であった.泌尿器科経験3年程度の術者が施行した開腹前立腺全摘術では,術中侵襲がやや大きいが,癌制御と機能温存の点では良好であった.

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© 2016 日本外科系連合学会
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