2016 年 41 巻 2 号 p. 179-184
症例は84歳男性.進行胃癌に対し腹腔鏡下胃全摘術,Roux-en-Y再建術を施行した.食道空腸吻合は機能的端々吻合で行った.手術の1年7カ月後に食物のつかえ感と嘔吐が出現した.食道空腸吻合部に播種再発による屈曲および狭窄を認めた.外科的治療や化学療法が困難であった.Through-the-scopeタイプのself-expandable metallic stentを留置することにより経口摂取が可能となった.複雑な形態を呈した機能的端々吻合による食道空腸吻合部の悪性狭窄に対し,ステントを留置することによりquality of lifeの改善を認めた1例を経験したので報告する.