抄録
症例は76歳,男性.8年前に多発胃癌に対して幽門側胃切除を施行し(pStage ⅡB),患者希望で術後補助化学療法は施行せず経過観察していた.術後8年の腹部CT検査で肝S2・S4に乏血性結節と横行結腸の軽度壁肥厚を認め,精査にて肝転移・腹膜播種再発と診断した.下部消化管内視鏡検査で横行結腸に内腔狭窄と粘膜浮腫,注腸造影では内腔狭小化を伴う粘膜不整像を認めたため,播種による横行結腸狭窄を考え,狭窄部切除のため手術を施行した.術中所見では複数の腹膜播種と肝転移の横行結腸間膜への浸潤と横行結腸の狭窄をきたしており,狭窄部は切除不能と判断し,結腸-結腸バイパス術を施行した.術後は全身化学療法開始とした.
胃癌術後の晩期再発は,進行胃癌では比較的稀であり,転移性肝腫瘍の他臓器浸潤は稀な再発様式である.今回われわれは進行胃癌術後晩期に横行結腸間膜への浸潤を伴う肝転移再発をきたした症例を経験したので文献的考察を加えて報告する.