抄録
症例は87歳の男性で肺気腫,気管支喘息にて当院呼吸器内科通院中であった.2007年11月より嚥下障害,嘔吐が出現し,内視鏡検査にて胸部中部食道扁平上皮癌と指摘された.高齢,PS2,高度の肺気腫,気管支喘息があるため化学放射線治療を行った.その治療効果はCRであったが,食道狭窄のため経口摂取困難となりPEG造設を行い退院した.外来で内視鏡的拡張術を数回施行したところ通過障害が改善し,9カ月後にPEGを抜去した.その後食道裂孔部リンパ節に腫大を認めたため,再発部位のみの放射線治療を施行し,さらに鎖骨上リンパ節腫大あり局所のみ放射線治療を行った.その後通過障害は認めていなかったが,初回治療より3年2カ月後に再度食道裂孔部リンパ節の増大のため経口摂取困難となり入院となった.PEG再造設を行ったが,誤嚥性肺炎を生じ死亡した.今回われわれは高齢者であり重篤な併存疾患を有する進行食道癌症例に対して各種治療にて約3年と長期間にわたり在宅生活を維持できた症例を経験したので報告する.