2016 年 41 巻 2 号 p. 196-201
症例は83歳男性.検診の上部消化管内視鏡検査で胃癌を指摘され当院紹介受診.精査の結果,早期胃癌(U,Post,0-Ⅱa+Ⅱc,18mm,tub2,cT1bN0M0 cStage IA)と診断した.ガイドラインに従って胃全摘術を提示したが,術後のactivities of daily living(ADL)の低下を危惧し,系統的胃切除術は拒否.代替案としてnon-exposed wall inversion surgery(NEWS)を提示したところ同意が得られた.手術は胃内腔側から内視鏡を用いてレーザー光を照射し,漿膜側から切離ラインをマーキングした.超音波凝固切開装置で漿膜筋層切開をおいた後,病変部を内反させるように漿膜筋層縫合を行った.その後胃内腔からITナイフで全層切離し経口的に標本を摘出した.術後3カ月を経過し,術前と同等の経口摂取が可能で,体重減少も認めていない.