日本外科系連合学会誌
Online ISSN : 1882-9112
Print ISSN : 0385-7883
ISSN-L : 0385-7883
症例報告
癒着性イレウスに対して待機的腹腔鏡下癒着剝離術を施行した3例
渋谷 一陽 永生 高広阿部 厚憲金沢 亮鈴木 崇史松澤 文彦森田 恒彦及能 健一
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 41 巻 2 号 p. 233-237

詳細
抄録
腹腔鏡手術は低侵襲であり整容性に優れるという特徴から広く普及している.腹部術後の癒着性イレウスは日常診療でしばしば遭遇する疾患であるが,イレウスの程度や患者の状態は症例ごとに大きく異なるため,腹腔鏡手術の適応は施設により異なる.イレウスの中には保存的加療により一時的に軽快するものの短期間に再発を繰り返す癒着性イレウスが存在する.癒着性イレウスでは癒着剝離のための再手術により再び癒着の原因を作ってしまうリスクが存在するが,腹腔鏡手術では創が小さいため再癒着のリスクを減らすことができる.
当科ではこのような繰り返す癒着性イレウスで,十分減圧が得られた症例に対し,症状軽快後に待機的に腹腔鏡手術を施行し良好な成績を得ている.イレウスに対する腹腔鏡手術の報告は多数あるが比較的早期に手術が行われている報告が多く,待機的に行っているという報告は少ない.待機的に手術を施行することで炎症期に手術することを避け,開腹移行のリスクや患者の精神的負担を軽減するとこができると考える.今回,われわれは繰り返す癒着性イレウス3症例に対して待機的腹腔鏡下癒着剝離術を施行し経過が良好であったので報告する.
著者関連情報
© 2016 日本外科系連合学会
前の記事 次の記事
feedback
Top