2016 年 41 巻 4 号 p. 664-671
症例は73歳,男性.血便を主訴に下部消化管内視鏡検査施行したところ,下部直腸に2型病変を認めた.また,上部消化管内視鏡検査にて胃体下部大彎に0-Ⅱc病変と小彎に0-Ⅱb病変を認めた.下部直腸癌はT4a,N1,M0と診断,下部直腸癌が予後を規定すると判断し,術前化学放射線療療法を施行した後に直腸癌切除する方針とした.術前化学放射線療法後の直腸病変は瘢痕化しており内視鏡的にほぼComplete Responseであった.術前化学放射線療法終了2カ月後に手術を施行した.手術は腹腔鏡下に同時切除を予定した.腹腔鏡下幽門側胃切除術を先行させ,続いて腹腔鏡下腹会陰式直腸切断術を施行した.胃の再建はBillroth-Ⅰ法(デルタ吻合)で行った.通常,腹部に胃の切除標本を取り出すための小開腹創を置くが,腹会陰式直腸切断術の会陰創から切除標本を摘出した.本症例は胃癌・直腸癌を同時切除することで小開腹創を置くことなく腹腔鏡下に手術を施行しえた.