日本外科系連合学会誌
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症例報告
結腸間膜に発生したparagangliomaの1例
塚本 亮一茂木 俊介本庄 薫平盧 尚志石山 隼小島 豊五藤 倫敏竹内 和世坂本 一博
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2017 年 42 巻 2 号 p. 279-285

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抄録

Paragangliomaは腹部大動脈周囲の後腹膜に発生するといわれている1).今回,結腸間膜内に発生したparagangliomaの切除症例を経験したので報告する.症例は55歳,男性.2カ月前より左上腹部痛を認め,近医を受診した.腹部造影CT検査で,左上腹部に12cm大の腹腔内腫瘤を認め,当科を紹介され受診した.腸間膜内の非上皮性腫瘍の診断でリンパ節郭清を伴う腫瘍切除,下行結腸部分切除を施行した.術中に急激な血圧の上昇を認めたが,術後に血圧の変化はみられず,第13病日で軽快退院となった.摘出標本では,腫瘍は12.0×10.4×5.0cm大で,表面は平滑で内部には囊胞性成分と充実性成分を有していた.病理学的所見ではzellballen patternを呈し,クロモグラニンA染色陽性でparagangliomaと診断した.Paragangliomaは病理組織学的に良,悪性の診断が難しく,潜在的悪性腫瘍として取り扱う必要があると思われる.また,稀に結腸間膜内にも発生することがあり,鑑別に挙げるべきと考えられた.

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© 2017 日本外科系連合学会
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