2017 年 42 巻 2 号 p. 286-290
術後の癒着防止対策としてセプラフィルムがある.今回消化管切除後に腹壁直下にセプラフィルムを貼付し,術後に特徴的な腹腔内膿瘍を形成した2例を経験したので報告する.症例1は60歳男性.S状結腸癌に対しハルトマン手術後,人工肛門閉鎖術を施行した.術後7日目の腹部CT検査で腹壁創直下に腹腔内膿瘍を認めた.ドレナージを行い治癒した.症例2は75歳男性.胃癌,横行結腸間膜浸潤に対し幽門側胃切除術,横行結腸合併切除術を施行した.術後7日目に腹部CT検査で腹壁創直下に腹腔内膿瘍を認めた.抗生剤投与で解熱し,術後21日目に退院した.しかし術後31日目に正中創より膿瘍が自壊し再入院した.ドレナージを行い治癒した.2例ともに腹壁創直下にセプラフィルムを貼付し,術後同部位に膿瘍を形成した.消化管切除後にセプラフィルムを貼付した際は,腹壁創直下に特徴的な腹腔内膿瘍を形成することがあり注意が必要である.