日本外科系連合学会誌
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症例報告
経肛門的イレウス管による減圧後に待機的な腹腔鏡下手術を施行したS状結腸子宮内膜症の1例
清水 将来小川 淳宏金森 浩平山口 拓也廣岡 紀文森 琢児丹羽 英記
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2017 年 42 巻 5 号 p. 816-822

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抄録

症例は44歳女性.2011年頃より排便時出血を認め近医で下部消化管内視鏡検査を施行したところS状結腸に狭窄を認め経過観察されていた.1年後の内視鏡検査では狭窄部の生検から子宮内膜症の診断を得,ホルモン療法を開始した.2014年某日,腹部膨満を主訴に前医受診し腹部CT検査を施行し,大腸閉塞の診断で当院紹介受診となった.当院で施行した内視鏡検査ではS状結腸に高度狭窄を認め,経肛門的イレウス管を留置した.その後イレウスの改善を認め留置7日目に抜去した.入院13日目に腹腔鏡下S状結腸切除術施行.病理所見では狭窄部に一致して異所性の子宮内膜組織を認めた.経過は良好で術後16日目に軽快退院となった.術後2年経過した現在再発を認めていない.子宮内膜症による大腸閉塞は比較的稀であり,今回われわれは腹腔鏡下手術を施行したS状結腸子宮内膜症の1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.

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© 2017 日本外科系連合学会
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