2018 年 43 巻 1 号 p. 148-153
症例は60歳代男性.右下腹部痛と右鼠径部膨隆を主訴に,救急外来を受診した.嵌頓を伴う右鼠径ヘルニアを認め,用手還納不可能であった.血算,血液生化学検査で炎症反応の上昇を認め,腹部造影CTでは大網が層状渦巻き構造を示し,その一部がヘルニア内容として右鼠径管から脱出していた.右鼠径ヘルニアに起因した大網捻転症と診断し,緊急手術を施行した.術中所見で,大網は時計方向に540度回転し,末梢側が壊死していた.壊死した大網を切除し,ヘルニア修復術を行った.大網捻転症は特徴的なCT所見を示す比較的稀な疾患である.右鼠径ヘルニアに起因する続発性大網捻転症の1例経験した.過去の本邦報告38例とあわせて検討したため報告する.