2018 年 43 巻 2 号 p. 265-268
精巣囊胞は稀な疾患である.症例は74歳男性透析患者で血便と下腹部痛の精査中に施行したCTで偶然に両側精巣囊胞を指摘され当科を受診した.超音波検査では単純性精巣囊胞に特徴的な,辺縁が整で明瞭,内部エコーはなく均一に低エコーであり,腫瘍マーカーは陰性で,burned-out tumorに特徴的な転移性腫瘍を認めなかったため両側単純性精巣囊胞と診断し,穿刺や精巣摘除術は施行せず経過観察となった.本邦における単純性精巣囊胞は自験例を含め24例のみの報告であったため,貴重な症例と思われたので若干の文献的考察を加えて報告する.