日本外科系連合学会誌
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症例報告
単孔式腹腔鏡補助下に切除した小腸間膜リンパ管腫の1例
佐々木 義之明石 諭杉森 志穂山田 行重
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2018 年 43 巻 2 号 p. 279-284

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抄録

症例は40歳代女性.腹痛のため内科を受診.腹部造影CT検査では左側小腸間膜に多発性の低吸収域囊胞状腫瘤性病変を認めた.またMRI検査では同部位にT1強調像で低信号,T2強調像で高信号を呈する多房性囊胞状腫瘤を認めた.以上より小腸間膜リンパ管腫が疑われ当科紹介となった.受診時,腹部は平坦,軟で圧痛や腹膜刺激症状も認めなかった.一旦は経過観察の方針となったが,腸捻転などのリスクを考慮し,手術加療を希望されたため単孔式腹腔鏡下での手術を施行した.術中所見では,上部小腸間膜に内部が透見される多房性の囊胞性病変を認めた.同病変を含めて小腸部分切除を施行した.病理所見でリンパ管腫と診断した.リンパ管腫は若年者に発生することが多い疾患で,本症例のように成人の腸間膜に発生するのは比較的稀である.単孔式腹腔鏡下で切除された例はなく,文献的考察を加えて報告する.

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© 2018 日本外科系連合学会
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