日本外科系連合学会誌
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症例報告
腹腔内に穿通した子宮内避妊具による絞扼性イレウスの1例
北濱 圭一郎吉川 貴久田島 佑樹竹ノ谷 隆尾戸 一平矢部 信成村井 信二
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2018 年 43 巻 6 号 p. 1065-1070

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抄録

症例は82歳女性,下腹部痛を主訴に受診した.下腹部に著明な圧痛と反跳痛があり,CT所見と併せて小腸絞扼性イレウスを疑い緊急手術の方針とした.腹腔鏡で骨盤内の血性腹水と子宮を穿通した子宮内避妊具(IUD:intrauterine device,以下IUD)に嵌頓した回腸を確認した.直視下で絞扼の原因となったIUDの環状部分を切離し回腸の絞扼を解除した.絞扼された回腸は完全に壊死しており,回腸部分切除を行った.術後経過良好で術後第8病日に退院した.本症例のIUD子宮穿孔の原因は,子宮萎縮とその後の子宮収縮が最も考えられた.小腸がIUDに嵌頓して生じた絞扼性イレウスは非常に稀である.高齢女性が避妊していた時代は輪状閉鎖型IUDを用いる例が多かったが,現在では使用頻度が減ったため医療者側も想起しにくくなっている.IUD挿入や抜去歴の聴取が重要になる.

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© 2018 日本外科系連合学会
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